西アフリカ・マリ共和国のティンブクトゥからそう遠くない街。キダーン(イブラヒム・アメド)は妻サティマ(トゥルゥ・キキ)、娘トーヤ、そして12歳の羊飼いイッサンと共に慎ましくも音楽に溢れた幸せな生活を送っていた。しかしいつしか街はイスラム過激派に占拠され、様相を変えてしまう。過激派の兵隊が作り上げた法によって歌や笑い声、たばこ、そしてサッカーさえも御法度となり、やがて住民たちは恐怖に支配されていくのであった。女たちは影のように潜み、中には威厳を持ってささやかな抵抗をする者もいたが、それでも毎日のように悲劇と不条理な懲罰が繰り返される。そんな混乱を避けるため、キダーン一家はティンブクトゥに避難する。だがある日、漁師のアマドゥがキダーンの飼っていた牛を殺し、それをきっかけに彼らの運命は大きく変わっていく……。