ロシア北部の入り江のある小さな町で、自動車修理工場を営むコーリャ(アレクセイ・セレブリャコフ)は、若い妻リリア(エレナ・リャドワ)、前妻との間に生まれた息子ロマとともに、住み慣れた家で暮らしている。1年後に選挙を控えた市長ヴァディム(ロマン・マディアノフ)は、権力にものを言わせて彼らの土地を買収しようとする。自分の人生のすべてと言える場所を失うことが耐えられないコーリャは、友人で弁護士のディーマ(ウラジーミル・ヴドヴィチェンコフ)をモスクワから呼び寄せる。市長の悪事の一端を掴んだコーリャは、明るみに出そうとするが……。圧倒的な自然の前で人間が非力なように、欲が肥大し強大になった権力に挑むコーリャも、なすすべもなく打ちのめされていく。神は正直に生きる矮小な人間に味方するのだろうか……。