ニューヨーク市マンハッタン街のアパートである。ここには大酒飲みで頑固なモーラント及びその家族が住んでいる。妻は夫の冷酷から温かい同情に飢えていた。娘のローズは近代的な聡明さを持った職業婦人である。カプランは近所の人からユダヤ人の社会主義者だと呼ばれている。娘のシャーレーは小学校の教師をしているし息子のサムは法律を勉強している。その他ラテン系のフィオレンチノ家、貧乏のどん底に喘ぐジョーンズ家、ヒルデブランド家などが隣人としての交際をしていた。人々が寄り集まって噂に花を咲かせている。モーラント夫人が牛乳会社の集金人サンキーを話し相手にしているのを何やかやと口喧く陰口しているのである。二人の仲を疑っているのだ。娘のローズは母の心を知っているだけに噂は軽く聞き流している。モーラントも噂を多少耳にして快く思わず今日も息子のウィリーが家にいないといって怒鳴り、ローズの帰宅が遅いと言って妻を吃り飛ばしていた。フィオレンチノがアイスクリームを近所へ配って歩いた。モーラントはカプランと社会問題で口論した。ヒルデブランド家はついに家資分散の宣告を受ける破目に陥ってしまった。ローズとサムとはお互いに愛し合っていた。そして何故人達は憎しみ合わねば生きてゆけないのかと嘆いていた。そこへ運転手のジョーンズが帰ってきてサムを嫉妬半分にどやしつける。心身過労のため床についていたブキャナン夫人が分娩した。翌朝モーラントはスタンフォードへ主張すると言い置いて出て言った。ローズやその他の人達も仕事に出掛けて行った。ブキャナン母子は健やかだった。モーラント夫人は母子のために鶏のスープを拵えてやる。サンキーがモーラント夫人の話し相手にやって来た。カプラン家の人達はサムとローズの接近を快く思っていない。突然酔いどれのモーラントが帰って来た。サムは噂のもたらす悲惨事を考えているだけに気が気でない。案の定、モーラントは夢中になって妻とサンキーの間を誤解し二人を撃ち殺した。物見高い群衆が押し寄せてきた。モーラントは短銃を擬しつつ血路を拓いて逃走する。ローズが帰って来た頃には街は静かになっていた。サムやその姉のシャーレーが優しく彼女をいたわる。サムとローズは母の死から結婚も出来難いことを話し合った。モーラントは捕縛された。彼はローズに別れの言葉を残し前非を悔いた。人達は悲劇のあった場所を珍しそうに見に来たりする。ローズはニューヨークを捨てる決心をし同行を希うサムを優しく訓すのだった。サムも一時彼女に別れる決心をする。街はいつもに変わらぬ風貌をしている。まるで何事もなかったものの様に--。