アイスランド。レイキャビクの空港で荷物係として働く43歳のフーシ(グンナル・ヨンソン)は、母親と二人暮らし。職場では単調な作業をこなし、金曜日はなじみのレストランでパッタイを食べる日々を送っている。そんな彼のささやかな楽しみは、戦車や兵士のフィギュアでジオラマを作ることと、大好きなヘビメタをラジオ番組にリクエストすること。職場の同僚はおとなしい彼を馬鹿にして、何かにつけてからかってくる。未だ独身の息子を心配した母親は、出会いのチャンスを作ろうと、誕生日にダンススクールのクーポンをプレゼント。一方、フーシは同じアパートに引っ越してきた少女ヘラが、父親の留守で家に入れない様子を見かねて、自分の家で一緒に遊んでやる。ところがヘラの父親は、フーシを何となく警戒している様子。ある晩、母親にせかされて渋々ダンススクールに向かうフーシだったが、中に入る勇気が出ずに車の中で音楽を聴いていると、出てきた女性シェヴン(リムル・クリスチャンスドッティル)が話しかけてきた。吹雪が怖くて歩いて帰れないというシェヴンを車で送ったことをきっかけに親しくなる2人。初めての恋の予感に胸をときめかせるフーシ。親友モルドゥルから激励され、シェヴンが好きな旅行の計画を立てて職場の花屋を訪れるが、彼女は既に辞めていた。ゴミ収集車から降りてくるシェヴンを見かけて追いかけたものの、彼女は打って変わって突き放した態度を見せる。意気消沈したフーシは、酔っ払って同僚からコールガールを押し付けられ、仕事を休んでヘラをドライブに連れて行けば警察から幼女誘拐に間違われるなど、散々な目に。意を決して再びシェヴンを訪ねたところ、荒れ放題の家の中で閉じこもっている彼女を発見。実はシェヴンは、心に深い傷を負い、精神的に不安定だったのだ。彼女を守りたい一心のフーシは、初めて自ら行動を起こすが……。