本の編集者である宮本守(伊藤洋三郎)は、小さな出版社・黙示書房を経営している。しかし経営は苦しく、事務所をたたむことになる。宮本の友人で作家の村岡正夫(佐野和宏)は、代表作『秋の理由』以降、小説を発表しておらず、精神的な不調から声が出なくなり、筆談器を使っている。村岡の才能を信じる宮本は、彼の新作を出したいと思っている。そして実は、村岡の妻・美咲(寺島しのぶ)に想いを寄せていた。ある日、宮本と村岡の前にミク(趣里)という女性が現れ、『秋の理由』を何回も読んだという。彼女は『秋の理由』のヒロインに似ていた。宮本はミクと過ごすうちに美咲への思いをはっきりと自覚するが、美咲はそれを受け入れようとはしない。しかし、美咲と村岡の関係は険悪になっていく。正気と狂気の間を揺れ動く村岡は、難民的な男女の群れの中に自分がいる夢をよく見るようになる。村岡は自分のそばに宮本がいることを苦痛に感じ、宮本にそれを告げてしまう。すると宮本は、村岡に、自分に、そしてこの世界のあり方に対して怒りを爆発させる。