人間の眼球をテーマにした写真に固執する女性カメラマン、城所麻耶(万里紗)は日々、東京の街中でゲリラ的に通行人の眼球を撮影していた。その個展に、脳神経外科医でインディペンデントのドキュメンタリー映画監督でもある佐多邦夫(中野剛)が訪れる。失った手足などが元の場所にあるように感じる症状“幻影肢”に関する映画を企画していた佐多は、自分の右目が義眼であると信じ、自分の眼球を探していると口にする麻耶に興味を抱く。そんなある夜、片目が義眼の男(PANTA)に拉致・監禁されてしまう麻耶。その男は、自らの義眼を麻耶の肉体に深々と差し込むと姿を消す。痙攣と恍惚が襲う中で、麻耶は男の部屋に冷凍保存された無数の眼球の中から、自分が探し求めていた眼球を発見する。麻耶から義眼男にレイプされた話を聞いた佐多は、それを精神的トラウマからくる幻影肢と結び付け、ドキュメンタリー映画の撮影を開始。被写体となった麻耶は、佐多から処方された治療用の合成麻薬を服用し、現実と妄想の狭間を揺れ動き始める。やがて、個展の眼球写真を購入したいと現れたのは、義眼男に瓜二つの男。その男の眼球の写真を撮影しようとする麻耶だったが、男は着用しているサングラスが“自分の目”であると主張。“私を撮ることは、映り込んでいるあなた自身を撮ることになる”と告げる。その言葉通り、現像した写真には、男のサングラスに反射した麻耶自身の眼球がしっかりと刻印されていた。自らに幻影肢を起こすトラウマとは一体何なのか?その正体を掴めないまま、犯罪ギリギリの方法で眼球を撮り続ける麻耶。映画撮影も終盤に差し掛かり、麻耶の精神的トラウマに踏み込む佐多。忌まわしい過去が明らかになった麻耶は、その記憶から逃げるように合成麻薬への依存度を高め、ついに佐多と肉体関係を結ぶ。同じ頃、都心では鋭利な器具で両目がくり抜かれた惨殺死体が発見される……。