両親と暮らす45歳のホルヘ(ホルヘ・ヘリネック)は、ウルグアイの首都モンテビデオにあるシネマテークに25年勤めている。フィルムの管理、作品の選択、プログラムの編成から映写、客席の修理までを一手に担い、ラジオの『シネマテークの時間』で映画を解説し、会員を募る。映写機材は古く、シュトロハイムの「グリード」の上映では、館長のマルティネス(マヌエル・マルティネス・カリル)自らマイクを持って、作中の詩をスペイン語でボイス・オーバーする。“アイスランド映画特集”の作品選びも、館長とホルヘで振り分けている。シネマテークが人生そのものであるホルヘにとって唯一の例外は、シネマテークの常連で大学教授のパオラ(パオラ・ベンディット)の存在だった。ホルヘは廊下でコーヒーに誘う練習をして臨むがうまくいかない。シネマテークはここ数年、観客は激減し、建物の賃料も8ヶ月滞納している。何とかせねばとホルヘは焦るが、館長もスタッフも修理不能な老朽化した機材のことで頭がいっぱいだった。ついに立ち退きが宣告され、出資元の財団からも、利益が出ないまま続けるわけにはいかないと通告される。ホルヘはバスの中で涙する。ついに閉鎖の日、ホルヘの頭の中で突如「駅馬車」のワンシーンが響き渡り、怒りを含んだ早足で歩き始め、パオラがいる大学を目指す。授業中の彼女を待つ間、代講の教授に間違えられてウソの授業をし、池の鯉を見、髪を切り、25年の人生が詰まった黒い鞄を置き去りにしたホルヘは……。