営利目的の途上国開発業者や巨大なNGOを含む数十億ドルにも及ぶ貧困産業が成長する中、先進国は途上国開発の指導者として地位を獲得してきた。慈善活動のビジネス化が歴史上これほどまでに発展を遂げたことはなかったが、多くの国際援助活動は失敗している。「気の毒な人々を何とかしなければ」「彼らは無力で何もできない」といったイメージが先進国側の人々に植え付けられ、一方的に押し付けられる援助で受け手側は自活力が潰されているのだ。ハイチではクリントン元米国大統領が貿易自由化を主導し、米の税率が大幅に引き下げられたことで米農家が壊滅的なダメージを負った。一足の購入ごとに発展途上国に一足の靴を贈る取り組みを行い、社会的企業として注目されるトムスシューズは、地域産業の成長を妨げている。アフリカで国際的なソフトウェア会社を設立した起業家、ハーマン・チナリー・ヘッセは「私たちは援助団体に統治されている」と語る。一方、海外援助に頼らず、自ら起業し雇用を生み出し、社会課題の解決を行う地元の事業者がいる。ハイチ随一の太陽光パネル製造会社・エネルサは、ハイチ出身の起業家によって設立された。だが、2010年のハイチ地震後、チャリティーとして無料の太陽光パネルが大量に送られてくることで、ビジネスを継続することが最大の課題となっていた……。