人生の折り返し地点。アーティストとして、1人の人間として、行き詰まりを感じていたイーサン・ホークは、ある夕食会で当時84歳のピアノ教師、シーモア・バーンスタインと出会う。たちまち安心感に包まれ、シーモアとそのピアノ演奏に魅了されたイーサンは、彼のドキュメンタリー映画の撮影を決意する。シーモアは、一流のコンサート・ピアニストとして活躍しながらも、50歳で現役活動に終止符を打ち、その後の人生を“教える”ことに捧げてきた。ピアニストとしての成功、朝鮮戦争従軍中の辛い記憶、そして、演奏会にまつわる不安や恐怖の思い出……。決して平坦ではなかった人生を、シーモアは美しいピアノの調べとともに語る。彼の温かく繊細な言葉は、すべてを包み込むように、私たちの心を豊かな場所へと導いてくれる……。