女性弁護士アン・タルボット(ジェシカ・ラング)は第2次大戦後にハンガリーからアメリカに移民し平和に暮らしてきた父マイク・ラズロ(アーミン・ミューラー・スタール)が突然ハンガリー政府からユダヤ人虐殺の犯人として引き渡しを求められたことで、周囲の反対を押し切ってその弁護を引き受ける決意をする。新たに浮かびあがる事実。父が移民の際身分を警察官でなく農民と偽ったこと。そして同じハンガリー移民のゾルダンという男に送金していたこと。そして法廷では父がユダヤ人虐殺の先兵であった特務部隊のミシュカという男と同一人物であるという証言が次々と行なわれ、状況は決定的に不利に思われた。しかし父の無実を信じるアンは、着実な反証によって検察側の証人を切り崩すことに成功する。そしてついに検察側はミシュカの知人であるという男を証人として持ち出すが、病床にあるその男を訪ねてハンガリーのブダペストに向かったアンはそこで決定的な反証の資料を手にいれる。しかしアンの胸には父が送金していたゾルダンの事故死についての疑念が残された。アンはゾルダンの姉から唯一の手がかりとして質札を預かる。アンがアメリカに戻ると新聞は父の有罪立証が不可能であることを告げている。しかしアンはブダペストでユダヤ人虐殺の証拠である顔に傷を持った男がゾルダンであることを示す写真を見てしまっていた。そして質札から引き出されたミュージック・ボックス(オルゴール)が音外な真実を告げる。激しく問い詰めるアンに対して父は信じてくれと言うばかりだったが、もはやアンは父を愛することができないことを知っていた。アンは黙って父の有罪を告げる証拠写真を新聞社に送る。