教師のエマッド(シャハブ・ホセイニ)は妻ラナ(タラネ・アリドゥスティ)とともに小さな劇団に所属し、上演を間近に控えたアーサー・ミラー原作の舞台『セールスマンの死』の稽古に忙しい。そんななか、思いがけないことで住む家を失った夫婦は劇団仲間が紹介してくれたアパートに移り住むことに。慌ただしく引っ越し作業を終え、『セールスマンの死』の初日を迎えた夜。ひと足早く劇場から帰宅したラナが侵入者に襲われ、この事件以降、夫婦の生活は一変する。包帯を巻いた痛々しい姿で帰宅したラナは精神的にもダメージを負い、めっきり口数が少なくなった。一方、エマッドは犯人を捕まえるために「警察に行こう」とラナを説得するが、表沙汰にしたくない彼女は頑なに拒み続ける。立ち直れないラナと、やり場のない苛立ちを募らせるエマッドの感情はすれ違い、夫婦仲は険悪になっていく。やがて犯人は前の住人だった女性と関係がある人物だと確証を掴んだエマッドは、自力で犯人を捜し出すことを決意するのだが……。