マリー=ルイーズ・フラー(ソーコ)は父を亡くすと、ニューヨークに住む母を頼って故郷の田舎町を出る。女優を夢見ていた彼女は厳格な母の目を盗んではオーディションを受け、やっと役を掴むが、台詞もない端役だった。しかし本番で、落ちそうになったスカートの裾をつまんでクルクルと回ると観客の喝采が起こる。それが天啓となり、ルイーズは衣装と舞台装置のアイデアを描き起こし、“ロイ・フラー”というダンサー名も決める。ロイは、袖も裾も長い幽霊のような衣装を纏って舞台デビューを果たす。ただしそれは5分間の演劇の幕間で、大半の客はロビーへと出ていた。しかし残っていた客は、両手に持った棒と速い回転で大きな鳥が羽ばたくように舞うロイのダンスに大喝采を贈る。その観客のなかには、ルイ・ドルセー伯爵(ギャスパー・ウリエル)もいた。母に止められて舞台を休んだロイはお払い箱になり、自分が考案したダンスは別の女優が勝手に踊っていた。ロイがルイに泣きつくと、フランスなら特許があるがアメリカには存在しないと、彼のお抱えの弁護士に諭される。ロイはルイの机から無断で金を借り、パリへ旅立つ。有名なミュージック・ホールのフォリー・ベルジェールへと向かったロイは、彼女の舞台装置のデッサンを気に入ったマネージャーのガブリエル(メラニー・ティエリー)の後押しで採用される。ロイは自ら設計した4色の光に照らされて、世界にひとつのダンスを舞う。翌朝の新聞で絶賛され、一夜でスターとなったロイの前に突然、アメリカ人富豪女性と離婚して帰国したルイが現れる。二人はルイの豪邸で共同生活を始める。やがてルイの計らいでオペラ座での公演が決まる。大きな舞台を一人では踊り切れないため、ロイはイサドラ・ダンカン(リリー=ローズ・デップ)を第1幕の踊り手に抜擢する。自分と違い、その身一つで人々を魅了するイサドラへの嫉妬と憧れ、重い衣装による肩の痛み、様々なプレッシャーに引き裂かれるロイは、更なる試練に直面する。