フランスがドイツに降伏した1940年6月。戦勝ムードに沸くベルリンの古めかしいアパートで質素に暮らす労働者階級の夫婦オットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のもとに一通の封書が届く。それは最愛の一人息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった。心のよりどころを失った二人は悲しみのどん底に沈むが、ある日、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」とヒトラーへの怒りのメッセージをポストカードに記し、アンナとともにそれを密かに街中に置く。夫婦はささやかな活動を繰り返すことで魂が解放されていくが、それを嗅ぎ付けたゲシュタポの捜査が二人に迫りつつあった……。