1945年、沖縄。16歳の少女・梅野洋海(織田梨沙)は、戦火から遠く離れた小島に渡り、独りで暮らし始める。島の洞窟で彼女が出会ったのは、日本の脱走兵・岩淵隆康(満島真之介)とアメリカ人のボブ(ブランドン・マクレランド)という2人の青年。敵同士ながら、共に戦いが厭で軍を離れた“卑怯者”の2人は、言葉こそ通じないものの、一緒に暮らすうち、次第に心を通わせてゆく。日系アメリカ人の母親を持つ洋海は、隠れて暮らす2人を気に掛けて洞窟に通い、時折、通訳を務めるようになる。親切だが詮索好きな吉上(渡辺真起子)の追及を逃れつつ、食料を届けて2人の世話をする洋海。やがて、3人の間に芽生える不思議な絆。そんなある日、隆康の兄・一(三浦貴大)が洞窟に現れる。戦闘で脚を負傷した一は、養生のために隆康やボブと共に暮らし始める。ところが、アメリカ兵を敵と信じ、戦うことしか考えない彼の目には、ボブは敵、隆康は裏切り者としか映らない。2人に向けられてゆく一の敵意。一方、留守中の家を寝泊りのために拝借していた洋海だったが、ある日、その家の主・儀間(寺島しのぶ)が帰ってくる。洋海に訝しげな眼差しを向けていた儀間は、やがてこれまでの顛末を語り始める。爆撃を受けた彼女は、逃げまどう最中、目の前で娘を失っていたのだ。悲しみ憤る儀間の姿に、なす術もなく立ち尽くす洋海。洞窟の中では、一が少しずつ快方に向かう兆しが見えていた。だが、それとともにボブと隆康に対する一の憎悪は増していき、ついに洋海の目の前で悲劇が起こる……。2016年、東京。友人とも馴染めず、大学にも何となく通うだけの志保(吉岡里帆)は、教授から卒業論文の題材に戦時中の沖縄を取り上げることを勧められ、一冊の日記を手渡される。そこには、1945年に沖縄の小島で暮らしていた16歳の少女の体験が書かれていた。読み進めるうち、日記の謎に惹かれていく志保だったが……。