食品や雑貨類を扱うサリサリストア“ROSA”を切り盛りするローサ・レイエス(ジャクリン・ホセ)は、夫ネストール(フリオ・ディアス)、長男ジャクソン(フェリックス・ロコ)、次男カーウィン(ジョマリ・アンヘレス)、長女ラケル(アンディ・アイゲンマン)、次女ジリアン(イナ・トァソン)とともにマニラのスラム街に暮らしている。人が密集しているこの街は貧しくても人と人のつながりは深い。ある土曜日の夕方。スーパーマーケットに買い出しに来たローサとカーウィンは、突然の雨の中、たくさんの買い物袋を持って家路へ急ぐ。帰り着くと、ネストールは店番もせずに、こそこそクスリをやっている。買い出してきた雑貨や菓子類を分けた後、仕入れた麻薬を砕き、手慣れた様子で小さなビニール袋に小分けにする。これが家族の生活を支えているのだ。夕食を買いに出掛けるローサに、息子同然に面倒を見ているボンボンが“アイス”を売ってと近づいて来る。“アイス”とは、麻薬の隠語。夕食を家族でとろうとしたその時、突然警察の男たちがやって来る。「全員、動くな。ブツはどこだ」手錠をかけられ連行されるローサとネストール。警察署。20万で手を打ってやると巡査がささやくが、「そんな大金……」とローサは口ごもる。協力しないならブタ箱行きだ、金がないなら売人を売れと巡査はたたみ掛ける。そしてローサは売人のジョマール(クリストファ・キング)を売った。捕まったジョマールのバッグから大量の麻薬とカネが見つかる。巡査たちは、嬉々として押収したカネを山分け。ひとりの巡査がカネをポケットに入れ、署長室へと向かう。そして巡査たちはジョマールにも金を要求。ジョマールは上級警部へ携帯メールで助けを求めるが、巡査たちにバレて袋叩きにされる。その様子を見ていたローサに巡査のひとりが拳銃を向けて言う。「警察に連絡したら殺すぞ。区長に連絡しても同じだ」ジョマールが持っていたカネ10万、ジョマールの妻リンダ(メルセデス・カブラル)が見逃し料として払う5万。20万ほしい警察は残りの5万をローサに要求する。カネを払うまで、両親は帰せないと警察署にやってきたローサの子供たちに3級巡査部長が告げる。やがて、子供たちは両親のためにお金を集めようとするのだが……。