妻を早くに亡くし、一人娘の志保(壇蜜)と二人暮らしの島田勇作(小林稔侍)。京都で豆腐作りの修行を積んだ勇作は、毎朝じっくりと手間と時間をかけて美味しい豆腐を作り、町の主婦や料理屋に届ける生活を続けていた。そんなある日、勇作の元に、警察官に付き添われ、東日本大震災による津波で家族全員を一瞬で失った少年・政美(荒井陽太)がやって来る。政美は、勇作の亡き妻の遠縁にあたるという。突然の不幸によって心に傷を抱える政美を、ただ静かに見守り続ける勇作。やがて自然に根差した自給自足の勇作との暮らしの中、薄皮が一枚、また一枚とはがれるように政美は少しずつ心を再生させていく。だが勇作が配達に出ている最中、町が大きな揺れに襲われ、一人で留守番をしていた政美は震災の恐怖がよみがえり、姿を消してしまう……。