鎌倉の片隅にひそやかに佇む古書店“ビブリア古書堂”に、青年・五浦大輔(野村周平)がやって来る。亡き祖母の遺品の中から出てきた夏目漱石の『それから』に記された著者のサインの真偽を確かめたいという。美しく若き店主の篠川栞子(黒木華)は極度の人見知りだったが、ひとたび本を手にすると、その可憐な唇からとめどなく知識が溢れ出す。そしてその優れた洞察力と推理力によって、栞子はたちどころにサインの謎を解き明かし、この本には大輔の祖母が死ぬまで守った秘密が隠されていると指摘するのだった。過去のある出来事から本が読めなくなった大輔だったが、それが縁となりビブリア古書堂で働き始める。不器用ながらも誠実な大輔は、やがて栞子に密かに思いを寄せていく。そんなある日、栞子は太宰治の『晩年』の希少本をめぐって、謎の人物から脅迫されていると大輔に告白。その正体を探り始めた二人は、漱石と太宰の二冊の本に隠された秘密が、大輔の人生を変える一つの真実に繋がっていることを知る……。