1957年。フランス・パリで執筆活動をしていたジェームズ・ボールドウィンは、パリ中で売られている新聞に載っていた15歳の少女、アメリカ南部シャーロットの高校に黒人として初めて入学するドロシー・カウンツの写真を見たのをきっかけに、故郷アメリカへ戻る決心をする。大勢の白人たちに取り囲まれ、ツバを吐かれ嘲笑されながら登校する彼女の姿に強い衝撃を受けたボールドウィンは、パリで議論している場合ではないと感じ、人種差別の最も激しい地域、アメリカ南部への旅に出る。公民権運動のリーダーだったメドガー・エヴァース、マルコムX、キング牧師との出会いと別れ、司法長官ロバート・ケネディとの会談など、激動するアメリカ社会の中心に立ち、出来事を記録し、各地で講演をし、精力的に動き回る。そして、自身の体験と鋭い洞察力で、母国アメリカの人種差別の歴史とその正体を解き明かしていく。