韓国出身のチョ・ソンヒョン監督は、北朝鮮で映画制作を行うため韓国籍を放棄し、ドイツパスポートで北朝鮮に入国。北朝鮮で制作する全ての映画は検閲を逃れられないが、自由に取材活動が出来ない制約下でも“同胞”として受け入れられたチョ監督は、最高指導者への特別な感情を抱く普段着の表情の人々と交流し、意外と普通だが予想外の北朝鮮の素顔を発見していく。公務員画家の男性は、美しい女性を描くことを楽しみ、表情は明るい。デザイナーという言葉を知らない縫製工場で働く少女の夢は、今までにない独創的な服を作ることだという。また、経済制裁下にある北朝鮮の人々の暮らしぶりは慎ましいが、どこか懐かしさを感じさせる。自活せざるを得ない必要性から、自然エネルギーを活用する人々の暮らしが循環型であることは驚くべき事実である。