1997年に香港が中国に返還される事が決まったのは、1984年のこと。それから30年が経った2014年、香港にはまだ民主主義が存在しなかった。自分たちで香港の代表を選ぶ“真の普通選挙”を求めて若者が街を占拠。同じ“香港人”であるはずの警官たちから浴びせられる催涙弾に雨傘で抵抗したことから、それは“雨傘運動”と呼ばれるようになった。そのデモにカメラを持って向かったのが、当時27歳のチャン・ジーウン。そこで出会った映画の主人公となる仲間たち。大学生のレイチェル、ラッキー、仕事が終わってからデモに駆けつけた建築業のユウ、授業の後に1人でデモに来た中学生のレイチェル……。香港の街が占拠され、路上にはテント村ができ、自習室ではラッキーの英語無料教室が開かれた。テントを張り、水を運び、夜は一緒にマットを敷いて路上に寝る日々。討議がまとまらず、言い争いになると“これが民主主義だ”とみんなで笑いあう。ジーウンにとって、こんな香港を見るのは初めてだった。香港に暮らす普通の僕たちが、“香港人”として“香港の未来”を探した79日間の記録。