インド東北部、ミャンマー国境付近に位置するナガランド州。あたり一面の棚田では、いつも歌が響いている。村人たちは信じられないほど急な斜面に作られた棚田の準備や苗木植え、穀物の収穫と運搬などの作業をグループごとに行っている。そして、その作業の間はいつも歌を歌う。移ろいゆく季節の豊かさ、友愛の歌、その他、生活のすべてを歌で表現しているのだ。農作業の最中、1人が声を発すると、それに呼応して他の1人も歌い始める。女性も男性も一緒になって掛け合いながら歌われる『リ』と呼ばれるその歌は、山々の四方八方に広がっていく。田畑も、恋も、友情も、苦い記憶も、すべてが歌とともにある。それはどこか、現代に生きる私たちが忘れてしまった“人と共に生きることの大切さ”を思い出させてくれる。