1991年、ベルリンの壁崩壊から始まった社会主義陣営崩壊の波はソ連にも達し、その余波で友好国キューバは深刻な経済危機にあった。モスクワの大学でマルクス主義哲学を修め、大学で教鞭を執るエリート共産主義者セルジオ(トマス・カオ)も家族の食費に事欠く有様で、趣味のアマチュア無線を使って、キューバでは報道されない不都合な情報をNYの無線仲間ピーター(ロン・パールマン)から教えてもらい、生き残る道を探っている。一方、ソ連の国際宇宙ステーション・ミールに長期滞在中の宇宙飛行士セルゲイ(ヘクター・ノア)は、母国の政変のために帰還無期限延長を宣告される。事情を知らない国民は、彼が宇宙連続滞在日数の世界記録を更新すると大騒ぎに。蚊帳の外に置かれたセルゲイは孤独を紛らわすように無線で「CQ CQDX こちらU5MIR」と地球に語り掛けるが、応答はなかった。セルジオの苦境を心配したピーターは最新式無線機を贈り、2人は初めて声で交信する。深夜まで会話を続けた翌日、つけっぱなしだった無線機から雑音混じりのコールが流れてきた。セルジオが「こちらはCM2CU」と答えると、「CQ CQDX こちらU5MIR」と声がする。短時間の交信だったが、セルジオは宇宙飛行士との会話に大興奮し、セルゲイもロシア語での会話に束の間の安らぎを覚える。セルジオはピーターに快挙を伝えるが、彼はモールス信号では明かせなかった家族の事情に苦しんでいた。セルジオとセルゲイは夜な夜な語り合い、いつしか親友になる。12月、ソ連が崩壊し、政局も国民も混乱状態に陥る。家族の元へ早く帰りたいと願うセルゲイのために、セルジオはアメリカを巻き込むセルゲイ救出作戦を思いつく。はたして、かつて熾烈な冷戦を繰り広げた超大国は団結できるのか……?