アイススケートをメジャースポーツへと押し上げ、さらに芸術の領域にまで昇華させた伝説のスケーター、ジョン・カリーは1949年9月9日、イギリス・バーミンガムに生まれた。卓越した身体能力と革命的な振付で1971年と、73年から76年まで全英チャンピオンに輝く。そして、バレエのメソッドを取り入れた演技で76年インスブルック冬季五輪フィギュアスケート男子シングルの金メダルを獲得。だが、マスコミが真っ先に伝えたのは、彼のセクシュアリティであった。同性愛が公的にも差別されていた時代に、ゲイであることが公表されたメダリストの存在は、世界中を驚かせ論争を巻き起こす。栄光の裏にあった深い孤独、自ら立ち上げたカンパニーでの新たな挑戦、そして彼を蝕んでゆく病魔AIDSとの闘い……。本人や家族、友人、スケート関係者へのインタビューを交え、時代に翻弄され不当な扱いを受けながらも屈することなく高みを目指し、人を遠ざけながらも愛に飢え、滑り、踊り続けた男の姿が明かされてゆく……。