ノーベル平和賞2018 を受賞した23 歳のナディア・ムラドは、2014 年8月までイラク北部にある静かなコチョ村で、母や兄弟姉妹たちと幸せに暮らしていた。しかし、そこにISISが現れ、少数民族ヤジディ教徒の虐殺を開始する。だが、彼らが行なったのは、殺害だけではなかった。少女を含む女性たちは、捕まれば戦利品として売買や交換の対象にされたのだ。ナディアたちも捕らわれ、母親と6人の兄弟は殺害される。3ヶ月に渡って性奴隷として扱われたナディアは、何とか脱出に成功し、ドイツへ逃れる。そして2015年12月。国際連合安全保障理事会でISIS の虐殺や性暴力に関する証言を行なったナディアは、ヤジディ教徒の希望となる。ほんの少し前まで、どこにでもいる平凡な女の子だったナディア。彼女の夢は、自分の村で美容室を開くことだった。普通の生活に戻ることを望みながらも、ISIS の虐殺を止め、いまだ捕らわれたままの同胞や世界中の性暴力被害者を救うため、彼女は表舞台に立ち続けることを決意する。そして、苦しみながらも、自らの痛ましい体験を繰り返しジャーナリストや政治家、外交官たちに訴え続ける。カメラは数々の困難に辛抱強く立ち向かうナディアに密着。その揺るぎない決意を浮き彫りにする。