平成元年に生まれ、北海道で育った高橋漣と園田葵は13歳の時に出会い、初めての恋を経験する。だがある日、葵が突然姿を消す。養父からの虐待に耐えかねて、町から逃げ出したのだ。事情を知った漣は、必死の思いで葵を探し出し、駆け落ちを決行。しかし幼いふたりの逃避行は行く当てもなく、すぐに警察に保護されてしまうのだった。その直後、葵は母親に連れられ、北海道を去ることに。それを知らずにいた漣は、葵を見送ることすらできないまま、別れを迎えた……。それから8年。地元のチーズ工房に勤務する21歳の漣は、友人の結婚式に訪れた東京で、葵との再会を果たす。北海道で生きていくことを決意した漣と、世界中を飛び回って自分を試したい葵。それぞれ別の人生を歩み始めたふたりは、過ぎた時間を取り戻すことはできない。そして10年後、平成最後の年となる2019年。運命は、もう一度だけ、漣と葵をめぐり逢わせようとしていた……。