30年続く惣菜店と、二人の子供を女手ひとつで懸命に守ってきた母・エラン(イ・ジュシル)。だが、息子のギュヒョンは万年非常勤講師で生活能力もなく妻に頼りきり。孫の世話まで見ることの多いエランは、今は亡き自分勝手な夫の影を息子に見てはつい小言ばかり言ってしまう。それでも、家族のためなら昼夜を問わず料理を作る。そんな平凡な日々を送っていたエランだったが、突如、認知症の症状が現れ、子供たちの荷物にだけはなりたくないと、薄れていく記憶の端を掴もうとする。やがて、ギュヒョンは母を介護施設に預けることに決め、家の片付けをしていると、ある一冊のノートを見つける。そこには息子や孫に宛てた自家製レシピと、家族への想いが切々と綴られていた……。