インドのムンバイにあるダラヴィ地区。イスラム教徒のムラド(ランヴィール・シン)は、この広大なスラムの一画で、大きな屋敷の専属運転手として働く父(ヴィジャイ・ラーズ)、母(アムリター・スバーシュ)、弟、祖母と一緒に狭い家で暮らしていた。貧しい暮らしから抜け出してほしいという両親の期待を背負って大学に通うムラドだったが、生まれで人を判断するインド社会に対して、閉塞感と憤りを感じていた。さらに彼は、友人のモイン(ヴィジャイ・ヴァルマー)が、自分や子どもたちを利用して、車の窃盗や麻薬の運び屋といった犯罪を繰り返すことも気になっていた。だが、生きるため……と思えば、それを止めることはできなかった。一方、ムラドには、医大生の恋人サフィナ(アーリアー・バット)がいた。だが、医師の父を持つサフィナは、同じイスラム教徒でも裕福な家庭の育ちで、ムラドとの交際を親に隠していた。ある日、大学のキャンパスで行われたコンサートで、ムラドはMCシェール(シッダーント・チャトルヴェーディー)の巧みなラップに魅了される。そんな時、足を骨折し、全治6週間と診断された父の代理として、運転手の仕事をすることになるムラド。そこで再び社会の格差を思い知らされ、その鬱屈した気持ちを詞に綴っていく。さらに、その詞を見たシェールのアドバイスを受け、ラップに挑戦することに。こうして“ガリーボーイ(=路地裏の少年)”の名で、ムラドは次第にラッパーとして成長していく。やがて、アメリカのバークリー音楽院で学んだ若い女性スカイ(カルキ・ケクラン)から、楽曲をプロデュースしたいとの話が舞い込み、『Mere Gully Mein(=路地裏が俺の庭)』をリリース。そして、アメリカのラッパーNAS(=ナズ)のムンバイ公演が決定。フリースタイルラップ・バトルの優勝者にその前座で歌う権利が与えられると知ったムラドは、挑戦を決意するが……。