美術史において最も偉大な画家の1人とされるフィンセント・ファン・ゴッホ。その死後、ほぼ無名だった彼の作品に出会い、個人コレクターとしては最大規模の約300点を収集したのは、ある1人の女性だった。その名は、ヘレーネ・クレラー=ミュラー。オランダ有数の資産家であり、4人の子どもの母でもあった彼女は、娘が通っていた絵画教室で芸術に触れ、絵画のコレクションを始める。その興味はファン・ゴッホが影響を受けた画家たちにも広がり、一大コレクションは1938年にクレラー=ミュラー美術館として結実。本作では、ファン・ゴッホ研究の第一人者であるマルコ・ゴルディンが監修を務め、ファン・ゴッホが修業時代に描いた素描画から自殺の直前まで変化し続けた作風を、波乱の人生と重ね合わせて解説する。また、「人間の値打ち」や「歓びのトスカーナ」などで知られるフランスを代表する女優ヴァレリア・ブルーニ・テデスキがガイド役として登場。ファン・ゴッホとヘレーネが残した膨大な手紙から、芸術と人間の生を探究する2人の深層に迫る。生涯出会うことのなかったファン・ゴッホとヘレーネ。2人の間に芽生えた魂の絆とは……?