雪の降るクリスマス前の更生施設。ハーテレの姉は婚約が決まったあとから、叔父による性的虐待を受け始め、そのせいで婚約破棄になった。ハーテレも同じ目に遭い、母に訴えても嘘をつくなと殴られ、家を出て放浪罪で捕まった。彼女は家族の元に戻さないでと訴える。“名なし”の罪状は、強盗、売春、クスリ。12歳のときに叔父から性的虐待を受け、家を出てからは食べていくために犯罪を繰り返した。監督の「私に16歳の娘がいると言ったら、悲しそうな顔をしたね」という問いに、「私はゴミの中で育てられ、その娘は愛情を注がれているから」と涙ぐむ。ソマイエは、母と姉と相談して父を殺した。娘に売春をさせたお金でクスリを買う父が母に椅子を振り上げて殴るのを見て、もう殺さないとだめだと思ったという。ガザールには15歳のときに生んだ2歳の子供がいる。結婚後、彼からクスリの売人をやるよう強要された。子供には7か月会っていない。マスーメは兄弟たちと強盗を働いて施設に収容された。11人兄弟のいちばん上の兄も刑務所にいるが、母は兄だけを愛している。マスーメには恋人がいるが、愛も恋も永遠でないことも知っている。フェレシュテは釈放が決まったが、喜んではいない。家に戻れば父親に鎖で殴られるはずだという。フェレシュテは重い足取りで迎えの車に向かう。アヴァの兄も刑務所にいて、死刑宣告されているという。アヴァは母に何度もひどい暴力をふるったり、母を裏切ったことを後悔している。アヴァの告白を聞いて泣いていた“651”も、クスリを買うお金が欲しくて母を殴ったことを思い出した。“651”というのは逮捕されたときに持っていたクスリのグラム数だという。数字程度の意味しかない人生だという思いでそれを名前にした。ハーテレの家族が彼女の訴えを信じ、彼女を迎えにきた。ハーテレの表情が幸福に輝く。“名なし”の釈放も決まるが、彼女は絶望を口にし、「罪状は、生まれたこと」とノートに書き残す。更生施設に新年がやってくる。