カザフスタンの広大な空に抱かれた草原の小さな家に、少年オルジャス(マディ・メナイダロフ)は家族とともに暮らしている。父の仕事を手伝いたいがまだ早いと拒まれるオルジャスは、夢見がちで早く大人になりたい年頃であった。そんなある日、馬飼いの父が市場に行ったきり戻らず、雷鳴が轟く夕刻、母アイグリ(サマル・イェスリャーモワ)が警察から呼び出される……。時を同じくして1人の男・カイラート(森山未來)が、突然父を失ったオルジャスの前に現れる。カイラートは、8年前に失踪したアイグリの昔の恋人だった。自分がオルジャスの本当の父親だということを黙っていることを条件に、従兄弟の家まで同行することを許されるカイラート。彼はオルジャスに寄り添い、馬で一緒に草原を駆け抜ける。言葉の少ない2人だったが、お互いに絵の才能を認め合い、いつしか心を通わせるようになっていく。しかし、従兄弟の家に向かう道中、アイグリたちの車が故障してしまう。カイラートとオルジャスは、カフェで従兄弟兄弟に連絡をするように頼まれるが、そこでオルジャスは亡き父の腕時計をした男を目にする……。