1922年、イタリアに生まれたピエール・カルダンは、ファシズムが台頭する祖国からフランスへ脱出。ファッションの道へ進み、50年代初頭にはオートクチュール(高級仕立服)を始める。やがて、プレタポルテ(既製服)に業界で初めて本格参入。未来的なコスモコール・ルックで若者を熱狂させた。そんな彼が語るのは、先鋭的すぎてファッション界から敬遠された苦悩と反撃、女優ジャンヌ・モローとの運命的な恋、情熱を注いだ劇場運営、門前払いされた高級レストラン『マキシム・ド・パリ』のリベンジ買収……。さらに、ファッション後進国だった日本や人民服を着ていた中国に先陣を切って乗り込み、ファッションの楽しさを世界中に伝えたカルダン。ジャン・ポール・ゴルチエやシャロン・ストーン、ナオミ・キャンベル、森英恵、高田賢三、桂由美といった豪華ゲスト陣の証言から浮かび上がるのは、スキャンダラスな天才デザイナーのチャーミングな素顔と輝かしいレガシーであった……。