日本を含む世界の音楽に影響を与え続けている音楽レーベル<モータウン>。愛称はヒッツヴィルUSA。創設者であるベリー・ゴーディは、アメリカ・ミシガン州デトロイトの西グランド通り2648番地にある一軒家を拠点に、若者に向けたポップな音楽を発信、アメリカンドリームを実現させた。上昇志向が強く大金を掴むことを夢見ていた彼は、新聞販売員を経てジャズのレコード店を経営し、実業家としての一歩を踏み出す。ジャッキー・ウィルソンの曲を作り音楽業界に参入。そして1959年、家族から借りた800ドルを資金にタムラ・レーベルをスタートさせ、モータウンの歴史が幕を開ける。その黄金期を彩ったのは、ミラクルズ、テンプテーションズ、ダイアナ・ロス&スプリームス、フォー・トップス、スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、ジャクソン5、マーサ&ザ・ヴァンデラスといったスターたち。一方では人種差別や暴動、作家の離脱といった数々の苦難にも直面。それでも、人種や性別に分け隔てのない社風同様、モータウンの音楽には分断した社会をひとつにする力があった。そんななか、反戦などの社会的メッセージを含んだ革新的な楽曲も生み出された。スターたちの貴重なライブ映像や証言を交えながら、20世紀に最も影響力を持った独立レーベルの軌跡を辿る。