ニューヨーク文壇の寵児で、ゲイのセレブリティのアイコンとしても社交界を席巻したトルーマン・カポーティ。『冷血』の大成功を経て長年出版が待ち望まれた新作『叶えられた祈り』は、ニューヨークの上流階級の実態を描き、最高傑作となるはずだった。ところが第一章が発表されると、そのスキャンダラスな内容によって激しい論争を巻き起こす。社交界から追放され、多くの友人を失うと、カポーティはアルコールと薬物中毒に苦しみ、作品は完成しないままこの世を去る。なぜ彼は、多くの人を傷つけるような本を執筆したのか、死後36年を経て、彼の波乱に満ちた人生を追い、未完の絶筆である『叶えられた祈り』をめぐるミステリーに迫る。作家ノーマン・メイラーや女優ローレン・バコールなどの当時の貴重な取材テープに加え、カポーティの養女ケイト・ハリントン、作家のジェイ・マキナニーやファッション・ジャーナリストのアンドレ・レオン・タリーなどの新たなインタビューから、謎に包まれたカポーティの素顔が見えてくる。