2018年7月、真夜中のロサンゼルス。総合芸術施設グランド・パークに、1人のミュージシャンがやって来る。“眠り”をテーマにした異色のコンサート『SLEEP』の中で演奏される音楽『SLEEP』の作曲を手掛けたマックス・リヒターだ。明け方まで8時間以上に及ぶコンサートに向け、リヒターたち演奏者は準備に余念がない。やがて観客が入場。ステージの前には簡易ベッドが並び、観客は寝袋を出したり、毛布を広げたり、それぞれのやり方でコンサートに備える。驚いたことに、ミュージシャンの演奏中、観客は寝てもいいし、会場を自由に歩き回っても、外に出ても構わないのだ。そんな型破りなコンサートをリヒターが思いついたのは、睡眠に対する素朴な興味からだった。睡眠は人間にどんな影響を与えているのか。音楽はどんな風に人間の脳に影響を与えるのか。リヒターは脳科学者デイヴィッド・イーグルマンの協力の下、音楽と睡眠を科学的に分析し、融合。これまで誰も味わったことのない新しい音楽体験、そして最高級の“眠り”と“目覚め”に導くための楽曲『SLEEP』を作り上げていく……。