東西冷戦ただ中の1950年代、ソビエト連邦は宇宙開発に向けて様々な実験を繰り返していた。人間の宇宙飛行が可能か検証するために数十回に渡り犬を宇宙空間へと送ったスペース・ドッグ計画もその一つ。1957年、モスクワの街角を縄張りにする野良犬だったライカは人工衛星スプートニク2号に乗せられ、地球生まれの生物として初の軌道飛行を達成。しかし彼女は生きて戻ることはなかった。死因は諸説あるが、打ち上げ後のストレスと高熱が有力視されている。時が移り、モスクワの犬たちは今日も苛酷な現実を生き抜いていた。街には、ライカは霊として地球に戻り、彼女の子孫たちと共に街角をさまよっている、という都市伝説が生まれていた。宇宙開発、エゴ、理不尽な暴力、……犬を取り巻くこの社会を、ソ連の宇宙開発計画のアーカイブと地上の犬目線で撮影された映像により映し出す。