芥川賞作家・津村記久子のデビュー小説を「あかぼし」の吉野竜平監督・脚本、佐久間由衣、奈緒共演で映画化。大学生のホリガイが、卒業前の何気ない日常の中で、暴力や児童虐待、ネグレクトなどの社会の闇と、痛みや哀しみに直面し、人生を見つめる物語。「“隠れビッチ”やってました。」から2作目の主演作に挑んだ佐久間由衣が、悩みが多いわけでもないが、何かが自分に欠けていると感じている、大らかでとぼけたホリガイを味わい深く演じている。ホリガイの大学の1年後輩で、過去に痛ましい経験をもつイノギ役には、「みをつくし料理帖」などで注目される奈緒。そのほか、小日向星一、笠松将、葵揚、森田想ら注目の若手俳優が共演している。特に苦労することもなく児童福祉の職業に就職が決まった主人公が、人との出会いを機に自分の人生を認識する自己確立の物語であり、また日常にひそむ悪意と向き合ったとき、人はどのように行動するのかを問われる社会派映画の側面もある。第33回東京国際映画祭の「TOKYOプレミア2020」に選出された話題作。