南インド・ケーララ州最奥のジャングルに位置するとある村。冴えない肉屋の男・アントニ(アントニ・ヴァルギース)が一頭の水牛を屠ろうと鉈を振る。すると、命の危機を察したその牛は怒り狂い、全速力で店から脱走してしまう。ディナー用の水牛カレーや、婚礼用の料理のために肉屋に群がっていた人々が、慌てて追いすがるもまったく手に負えない。恋心を寄せるソフィに愛想を尽かされたアントニは、最初に牛を捕まえて汚名を返上しようと奮闘。だが暴れ牛は、村の商店を破壊しタピオカ畑を踏み荒らしながら暴走を続ける。農場主や教会の神父、地元の警察官、さらには騒ぎを聞きつけた隣村のならず者たちを巻き込みながら、村は大パニックに陥ってゆく。そんななか、かつて密売の罪で村を追放された荒くれ者クッタッチャンが呼び戻される。彼は、かつてソフィを巡っていがみあい、自分を密告したアントニを恨んでいた。やがて牛追い騒動は、いつしか人間同士の醜い争いへと発展していき……。