常に時代の美的価値に挑戦し、服の概念を解体し続けたデザイナー、マルタン・マルジェラは、キャリアを通して公の場に姿を現さず、あらゆる取材や撮影を断り続け、そのすべてが謎に包まれていた。本作は初めてマルジェラ本人が制作に協力し、これまで一切語ることのなかったキャリアやクリエイティビティについて、そして自身に影響を与えた祖母や子供時代について、重い沈黙を破って本人の言葉で語った。「このドキュメンタリーのためだけ」「顔は写さない」という条件のもと、初めて公表するドローイングや膨大なメモ、7 歳で作ったというバービー人形の服などプライベートな記録や、ドレスメーカーだった祖母からの影響、ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、ヒット作となった足袋ブーツの誕生、世界的ハイブランド、エルメスのデザイナーへの抜擢就任、そして51歳での突然の引退など、そのすべてをマルジェラ自身がカメラの前で明かしていく。突然の引退から10年以上経った今も大きな影響力をもつ謎の天才デザイナー、マルタン・マルジェラが評価され続ける理由とは? マルジェラの創造性と仕事術の全貌が、初めて明かされる。