インドネシアの人口1500人の小さな村、ラマレラ村。“太陽の土地”を意味するこの村の住民は、互いの和を最も大切なものとし、自然の恵に感謝の祈りをささげ、言い伝えを守りながら生活をしている。中でも、クジラの銛打ち漁師たちはラマファと呼ばれ、最も尊敬されている。1年間に10頭獲れれば、村人全員が暮らしていける。死と隣り合わせのクジラ漁で、彼らは銛1本で巨大なマッコウクジラに挑む。彼らの姿を見た子供たちは、自分もラマファになりたいと夢見る。ラマレラの人々は、こうして400年間暮らしてきた。2018年、ラマファのベンジャミンが漁の最中に命を落とした。家族も村民も深い悲しみに暮れるが、ベンジャミンの父で舟作りの名人・イグナシウスは、バラバラになりそうな家族の結束の象徴として、伝統の鯨舟を作り直すことを決心する。1年後、彼らの新しい舟は、クジラを目指して大海に漕ぎ出す……。