1913年にハンガリーで生まれウィーンで育ったユダヤ人のマルコ・ファインゴルト。1939年、ゲシュタポに逮捕された彼は1945年までアウシュヴィッツ、ノイエンガンメ、ダッハウ、ブーヘンヴァルトという4つの強制収容所に収容される。終戦後は、10万人以上のユダヤ人難民をパレスチナへ逃がし、自らの体験とナチスの罪、そしてナチスに加担した自国オーストリアの責任を70年以上訴え続けた。オーストリア人最年長のホロコースト生存者としてザルツブルクのユダヤ協会会長を長年務め、その功績に多くの栄誉ある賞が与えられたが、2019年9月19日、永眠。本作は、そんなマルコの数奇な人生を通じ、反ユダヤ主義がどのように広まりホロコーストに繋がっていったのかを世界初公開のアーカイヴ映像を交えながら映し出し、過去と地続きにある現在に警鐘を鳴らす。