間もなく結婚40年を迎える三郎(下元史朗)と美智子(烏丸せつこ)の夫婦。大工を引退した三郎は、やることもないまま、海が見える古い団地で一日を過ごしていた。妻の美智子は出かけるための準備に余念がない。「どこ行くんだよ」「化粧濃いんじゃないか」。そんなやり取りの後、美智子は家を出る。三郎は美智子に届け物を頼まれていたが、どこに届けるのか失念したまま帰宅。やがて美智子の帰りを待ちながらビールを飲んでいると、携帯が鳴る。京都府警から、美智子がひき逃げに遭って意識不明との連絡だった。なぜ京都に? 取るものも取り敢えず、娘の知美(和田光沙)に電話をかけ、京都に向かう三郎。病室で眠ったままの美智子の荷物を開けてみると、古いアルバムとカメラが入っていた。若い頃、写真家を目指していた美智子が愛用していたカメラだった。意識が戻らぬまま1週間が経過。三郎が現像を頼んでいた町のカメラ屋に写真を取りに行くと、そこに写っていたのは、見知らぬ男の姿だった。この男は誰なのか? 自分の知らない美智子の世界がある。京都でこの男と会っていたのか。次々に湧き上がる疑惑に背中を押されるように、三郎は美智子の実家がある奈良へ。追ってきた娘の知美とともに、美智子の浮気相手を探す旅を始める。自分が知らない少女時代の美智子。自分に黙って男と逢引していた美智子。夫婦の40年間はなんだったのか。美智子と重ねた思い出が、ひとつ、またひとつと抜け落ちていく……。