オハイオ州の小さな町サンダスキーの老人ホーム。パトリック・ピッツェンバーガー(ウド・キアー)は、静かに余生を送っていた。しかし、ゲイとして生きてきたパトリックの心には、常に過去の思い出が去来していた。ヘアメイクドレッサーだった彼のサロンは街でも大人気で、“ミスター・パット”と呼ばれ、顧客から愛されていたこと。そして愛する恋人デビッドとの生活と、早くに彼を失ったこと……。そんなある日、弁護士のシャンロック(トム・ブルーム)がパットを訪ねて来る。かつてのパットの顧客で、街一番の金持ちだったリタ・パーカー・スローン(リンダ・エヴァンス)が亡くなり、“死化粧はパットに頼んでほしい”と遺言を残したというのだ。その報酬は2万5000ドル。驚くパットだが、リタへの複雑な思いや、すでに現役を引退した現実から、その依頼を断ってしまう。しかし、リタの遺言に動揺を隠せないパットは、しばらくして考え直すと、こっそり老人ホームを抜け出す。やがてリタの孫ダスティン(マイケル・ユーリー)から改めて協力を求められたパットは、リタのメイクアップを引き受けるが……。