北海道の根室にあるオホーツク海沿岸の街。ロシア人相手の中古電器店を営む谷川章二(金子清文)は、自分を殺してくれる人を捜していた。経営に行き詰まり、妻と息子に先立たれ、小学生の娘を老親に預けている彼は、せめて娘に多額の保険金を残して死のうと思っていたのだ。歌手活動をしていた本多早紀(菜葉菜)は、売れないまま 40歳近くになり、東京の芸能事務所をやめ、親に内緒で故郷の北海道に戻ってきた。結婚を考えていた相手とも、彼の浮気が原因で別れ、借金に追われていたが、それが理由というわけではなく、なんとなく生きる意味を失っていた。大久保幸人(佐野弘樹)は、詐欺まがいの廃品回収会社に勤める傍ら、盗んだ灯油を売り歩いて生計を立てていた。父親は不在で、女手ひとつで育ててくれた母は入院中。同居する妹は、行方知れずの男の子どもを妊娠しており、先の見えない生活に疲れていた。章二は、自殺サイトで早紀と知り合い、自殺では保険金の額が少ないため、事故に見せかけて殺してくれと彼女に依頼する。しかも彼はある理由から、妻の遺体を自宅に隠していた。それを知った早紀と共に、妻を埋葬するため、深夜の空き地で穴を掘っているところを、廃品を不法投棄しにきた幸人に見つかる。事情を知った幸人は、早紀と一緒に章二の希望をかなえようと計画するが……。