1953年、パリ。モンマルトルのヴァンティミーユ広場で、若い女性の刺殺体が発見される。シルクのイブニングドレスが血で真っ赤に染まり、5か所もの執拗な刺し傷があった。事件の捜査を依頼されたメグレ警視(ジェラール・ドパルデュー)は、死体を見ただけで複雑な事件になる予感がした。死体のそばに持ち物などはなにもなく、事件の目撃者もいない。彼女が誰なのか、どんな人物だったのかを知る者もいない。そんななか、彼女を特定する唯一の手掛かりになったのは、若い女性には不釣り合いなほど高級なドレスだった。メグレ警視は捜査を進め、身元不明の彼女がどうして殺されることになったのか、彼女はどんな人生を送ってきたのかを探っていく。メグレ警視は、異常なほどこの事件にのめり込んでいく。一体何か彼をこれほど駆り立てるのか……?