川上達也(タモト清嵐)は、一人、ずっと暗闇の中で生きてきた。記憶のある明るい時間は、父が生きていた時代。普通よりも裕福な家庭で育ち、父(高橋雄祐)が経営する会社も順調、優しい母(岩崎聡子)、頼もしい兄(紫木風太)と可愛い妹(前迫莉亜)に囲まれ、何不自由ない暮らしを送っていた。しかし、仕事と人間関係に疲れ果てた父の自殺を機に、すべてが一変する。兄は癌の治療、転移よる後遺症で片目を失明し、自暴自棄になり、妹は急に貧しくなった生活に戸惑い、反抗的になる。達也は、目指していた大学進学の道を断念する。すがる思いで統一教会に入信した母は、父が命をかけて家族のために残した生命保険すらも教団から言われるままに献金を繰り返し、すべてを使い果たして自己破産……。そんな時、母を奪い返すために教団施設に向かった兄は、屈強な教団職員によって囚われの身となる。最も親しみを感じ、頼りにしていた兄も、絶望の果てに自死する。それ以来、希望も失い、暗闇の中を彷徨っていた達也は、自分と家族をここまで追い込み、すべてを失わせた元凶である教団への復讐を誓う。部屋に閉じこもり、かつて自衛隊にいたときの経験を元に改造拳銃を作り続ける達也。確かな目的もなく、孤独の中で達也は“僕は星になれるのか”と瞑目する。そして突然、元首相が自分の育った土地に選挙応援でやってくることが知らされる。早朝、身の回りを整理した達也は、静かに部屋を出る。