27歳でステージ4の舌がんの診断を受けた看護師の鈴木ゆずなさんは、仕事を休み、治療を続けている。やりたいことをリストに書き出し、家族や友人を招いて念願の結婚披露パーティーを開いたり、富士山に登ったり……。一方でゆずなさんは日々の気づきを言葉にしていく。「生きにくさを感じる人は他にもたくさんいますよね」「ネガティブな自分を抑圧せず、素直に受け入れた」「“今、自分は辛いんだな”と否定も肯定もせずただ受け入れる」。これは、ゆずなさんが夫の翔太さんや友人たち、そして新たに出会ったNPO法人“地域で共に生きるナノ”の仲間たちと時を重ね、命と向き合い、日々の暮らしを紡いでいく姿を追ったドキュメンタリー。この映画を企画したのは、医療の最前線で働いていた“AYA世代”のゆずなさん自身。“AYA”とはAdolescent(思春期) & Young Adult(若年成人)の頭文字で、おおむね15歳から39歳のがん患者のこと。その多くが就学や就職、出産や育児などに直面し、大きな困難を抱えているにもかかわらず、医療費制度と介護保険の谷間で、経済的な支えとなる助成制度がほとんどない。根治が難しい病状を熟知するゆずなさんが、私たちに伝えようとしたいくつもの葛藤と、確かな幸福の形とは……?