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平均評点
77.9点(62人)
観たひと
89
観たいひと
24
レビューの数
13
(C) Soilsiú Films, Aisling Productions, Clin d’oeil films, Zadig Productions,MMXXI
北アイルランド・ベルファストの小学校で行われている哲学の授業を2年間にわたり記録したドキュメンタリー。プロテスタントとカトリックの対立が長く続いた街で、子どもたちは異なる立場の意見に耳を傾けながら、自らの思考を整理し、言葉にする方法を学ぶ。監督は、アイルランドのドキュメンタリー作家ナーサ・ニ・キアナンと、ベルファスト出身のデクラン・マッグラ。第49回日本賞(NHK)一般向け部門最優秀賞(東京都知事賞)、第18回アイリッシュ映画&テレビアカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞などを受賞。
北アイルランド・ベルファストにあるホーリークロス男子小学校では、哲学が主要科目になっている。エルヴィス・プレスリーを愛し、威厳と愛嬌を兼ね備え、「どんな意見にも価値がある」と言うケヴィン校長の教えのもと、子どもたちは異なる立場の意見に耳を傾けながら、自らの思考を整理し、言葉にしていく。先生たちは授業に集中できない子や喧嘩を繰り返す子に常に共感を示し、さりげなく対話を持ちかける。自分の内にある不安や怒り、衝動に気づき、コントロールすることが、生徒たちの身を守る何よりも武器となるとケヴィン校長は考える。かつて暴力で問題解決を図ってきた後悔と挫折から、新たな憎しみの連鎖を生み出さないために導き出した1つの答えが哲学の授業だった。北アイルランド紛争によりプロテスタントとカトリックの対立が長く続き、“平和の壁”と呼ばれる分離壁が存在するベルファスト。1998年のベルファスト合意以降、大まかには平和が維持されているが、今なお一部の武装化した組織が若者の勧誘を続けている。争いの記憶は薄れやすく、平和を維持するのは困難だ。その難しさはケヴィン校長と生徒たちの対話にも現れる。およそ2年に及ぶ撮影期間中にパンデミックが起こり、インターネット上のトラブルという新たな問題が表面化するなど、子どもをめぐる環境の変化も捉えている。
読者の映画評:「To Leslie トゥ・レスリー」原田隆司/「ぼくたちの哲学教室」若林泰之/「CURE」喜井大二朗
REVIEW 日本映画&外国映画:「ぼくたちの哲学教室」
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