母と二人暮らしの七海(くるみ)は中学2 年生。“七海”という名前をつけてくれた父は、ずっと前にどこかに行ってしまった。今日も学校には行かない。川べりで“夫を亡くしたばかりの人”岬(正木佐和)と出会い、心が通じあう。77 歳の寺田(福間健二)は、若いころに妻を亡くした元船乗り。老年に差し掛かり、忘れていいわけではない過去が、不意に彼を不安にかき立てる。最近、老人たちが集まって飲み食いする“憩いのベンチ”に参加するようになった。そこへやってきた七海は、老人たちのありきたりの言葉に“きのう生まれたわけじゃないよ!”と反発。七海は寺田とともに“憩いのベンチ”を抜け出し、二人の時間を持つことになる。人の心を読むことができる七海に驚く寺田。その夜、寺田の前に、亡くなった妻・綾子(正木佐和:二役)が現れる。