1921年、アメリカ・テキサス州フォートワースに生まれ、ニューヨークで育った作家パトリシア・ハイスミスは、1950年に長編デビュー作「見知らぬ乗客」を発表、本作は翌年アルフレッド・ヒッチコックにより映画化される。トルーマン・カポーティにその才能を認められ、「太陽がいっぱい」「アメリカの友人」「キャロル」など、映画史に残る名作の原作の数々を生みだした。中でも偽名で発表した「キャロル」は自伝的小説であり、1950年代のアメリカでハッピーエンドを迎えた初のレズビアン小説であった。しかしそんな栄光を手にしながらも、ハイスミス自身は、女性たちとの旺盛な恋愛活動を家族や世間に隠す二重生活を余儀なくされていた……。生誕100周年を経て発表された日記やノート、貴重な本人映像やインタビュー音声、タベア・ブルーメンシャインをはじめとする元恋人たちや家族によるインタビューを通して、多くの女性たちから愛された作家の素顔が明かされてゆく……。