コロナ禍の2020年、アメリカ・マサチューセッツ州。平凡な会社員キース・ギル(ポール・ダノ)は、全財産の5万ドルをゲームストップ社という株につぎ込んでいた。ゲームストップ社はアメリカ各地の実店舗でゲームソフトを販売している会社だったが、業績が低迷し、倒産間近のボロ株と見なされていた。キースは赤いハチマキを巻き、ネコのTシャツを着て、“ローリング・キティ”という別名義で動画を配信。この株が著しく過小評価されているとネット掲示板の住民たちに訴えると、彼の主張に共感した大勢の個人投資家がゲームストップ株を買い始める。2021年初頭に株価が大暴騰し、同社の空売りをしてひと儲けしようと目論んでいた金融業界の大富豪たちが巨額の損害を被る事態を引き起こす。やがて、SNSに集った無力の一般市民が、この世の富を独占するウォール街のエリートたちに反旗を翻したこのニュースは連日メディアを賑わせ、全米を揺るがす社会現象に発展する。しかし、一躍、時の人となったキースに、想像を絶する事態が待ち受けていた……。